日本遺産ゆずとりんてつ

ゆずとりんてつ

日本遺産ゆずとりんてつについて

高知県東部の中芸地域5町村(奈半利町、田野町、安田町、北川村、馬路村)には、今も森林鉄道の記憶を残す遺構が数多く現存しています。
明治44年の開通時に建造された隧道などが、平成21年2月に経済産業省の近代化産業遺産群に認定されました。さらに同年、橋梁や隧道など18箇所の貴重な土木建造物が国重要文化財に指定されました。
その18箇所を含む森林鉄道遺構や食文化、歴史、伝統行事、風景など48の構成文化財とストーリーが、「森林鉄道から日本一のゆずロードへ-ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化-」のタイトルで日本遺産に認定されています。

プロモーションビデオ

中芸日本遺産を語る

高知大学人文社会学部と次世代地域創造センターが、
中芸地域に暮らす人々の記憶や歴史にスポットを当てたライフヒストリー(生活史)をご紹介。
「Lifehistory-kochi 振り返ればそこにある高知の暮らし」公式サイトから、ぜひご覧ください。

中芸地域とは

概要

高知県の東に位置する中芸(ちゅうげい)地域。
高知県安芸郡の安田町、田野町、奈半利町、北川村、馬路村の5町村のことを中芸地域と呼んでいます。
中芸地域は、かつて西日本最大の林業が栄えた地域です。
そして、現在では、日本一のゆずの産地として全国に出荷しています。

歴史

紀貫之が土佐国司の任を終え帰洛の途上、『土佐日記』のなかで「思ひやる心は海を渡れども文しなければ知らずやあるらむ」と詠んだ和歌は、海路輸送に好適な地の利を得ていました。現在とは異なり、古くは土佐の玄関口として江戸・京を結ぶ海の路・陸の路として長きにわたり人・モノ・財が集積し繁栄したところです。伐り出された材木は、海港に集積され、木材商の手を経て木材船によって大阪・江戸へと運ばれました。商人の町として華やかな町民文化を育み、なかでも御用商人である田野五人衆の筆頭・米屋の岡家は有名で、岡御殿には今も当時の栄華がしのばれます。活気に満ちあふれた町には、料亭が建ち並び、華やかな文化に包まれました。土佐漆喰と石ぐろ壁の町並みがだるま夕日に照らされ紅く染まる時間には、「鰹の土佐造り」や「鰹のタタキ」、大きな浅皿に様々な料理を豪華に盛り込んだ「皿鉢料理」が並び、土佐の食と酒の饗宴である「おきゃく」が毎夜繰り広げられたといいます。
「本鉄道は便さず、すべて便乗するもすべての危険は自己の負担と心得べし」という有名な制札が立てられ、命の保証はないにもかかわらず、杣夫達は華やかな文化にあこがれ町へ下り、町民と杣夫とが酒を酌み交わしたことでしょう。

自然

高知市内から土佐湾沿いの道を東に約50キロに位置する中芸地域。平家の落人伝説が残る甚吉ヶ森の頂から土佐湾を望むおよそ30kmのエリアに森・川・海の豊かな自然が詰まっています。
年平均降雨量が4,000mmを越える日本有数の多雨地帯には四国で数少ないスギ天然林が分布し、千本山をはじめ原始的森林景観が広がっています。そこから流れる安田川と奈半利川の二本の清流には、数多くの野鳥や魚が生息しています。
なかでも利き鮎大会で日本一をとったことのある天然鮎を求めて、6月〜9月には多くの釣り人で賑わいます。中芸地域のキャンプ場に泊まれば、日本遺産の自然を満喫することができます。

産業

中芸地域は、かつては林業で栄え、山には大木を伐る杣の掛声が響いていました。古くは弘法大師の時代から伐り出され、豊臣秀吉が洛陽東山佛光寺の大仏殿の建材に用いた銘木・魚梁瀬杉をはじめ、多くの木材を産出し、海から日本全国へと送り出してきました。
杣夫は、手斧だけで急峻な地形から樹齢300年を超える巨木を伐り倒し、「ゑいや、ゑいや」と引く声は谷峯までも響き渡り、天地も振動させるほどだったそうです。明治末から敷設がはじまり、中芸一帯を大量の木材を載せて駆け巡った魚梁瀬森林鉄道、通称“りんてつ”は、林業の隆盛とこの地の繁栄を象徴するものです。
1960年代、全国的に林業が衰退するなかで、当地の林業も次第に陰りをみせ、“りんてつ”も廃線を迎えることになりました。今でも数多くの遺構が残っており、当時の隆盛を知ることができます。
中芸地域の人びとが林業に代わる新たな産業として振興したのがゆず栽培です。“りんてつ”にのって木材が行き交った山間や川沿いに、人びとは丁寧に畑を開き、丹精込めてゆずを植え育てていきました。こうして栽培が拡大した中芸地域のゆずは、今では日本一の生産量を誇り、世界に輸出されるまでになっています。時代の変化を生きる人びとの手によって、中芸地域の産業は林業からゆずへと姿を変えたのです。

日本遺産とは

~我が国の文化・伝統を語るストーリーを認定~ 「日本遺産(Japan Heritage)」は地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するものです。ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としています。