『全国ハーブサミット』は、北は北海道から南は沖縄まで全国の自治体と法人などで構成される、「全国ハーブサミット連絡協議会」を中心に、ハーブの個性と特色を活かした魅力あるまちづくりを推進することを目的として、これまでに26回が開催されています。そして、ほとんどのサミットでは併催イベントとしてハーブフェスティバル等を開催し、地域の魅力を全国に発信しています。また、開催にあたっては、連絡協議会の総会を開き次回開催地への引継ぎをすることがひつようとなりますが、それ以外は、内容、方法等全て開催地に任され、自由に計画、立案、実施できるのです。
第27回全国ハーブサミットin中芸・中芸ハーブフェスティバル2020は、「中芸のゆずと森林鉄道日本遺産」のみりょくを高め、それぞれの地域の連携を強化し、新たな中芸地域を全国に発信する」等を目的とし、令和2年10月31日から11月3日まで開催されることとなっています。
ハーブと聞くと草本類を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?「ゆず」は柑橘でしょ?ハーブなの?」とよく聞かれます。 確かにHerbの語源はラテン語で「草」を意味するherbaです。フランク王国カール大帝は「ハーブとは、医者の友であり、料理人の賞賛の的である。」と言ったと伝わっており、中世のハーブに関するこの定義は、簡にして要を得たものであると紹介されています。その後大航海時代を経て、ヨーロッパになかった植物が世界中に知られるようになり、ハーブの定義は「五感で感じ、暮らしを豊かに彩る植物」のような範囲にまで広がっていったようで、現在では、柑橘類からユーカリや杉などの木本類までもがハーブとして整理されています。
高知県は、ミョウガ、ショウガ、ニラ、シシトウ、ナス、ゆずなどハーブといえる特徴的な農産物の生産量が日本一です。また、野菜や鮎などを湯の酢で味付けした田舎寿司のバリエーションも多く、直七やブシュカン、文旦なども加わり、古くから酢みかん文化が根付いています。近年はベルガモット等の生産も始まっているなど、日本でも屈指の柑橘を楽しむ県民なのです。さらに、日本植物学の父といわれる牧野富太郎博士を輩出するなど、ハーブサミットを開催するのにうってつけの土地柄ではないでしょうか。そして、かつて銘木魚梁瀬杉を運んだ西日本最大の森林鉄道が駆け巡った中芸は、林業に代わる産業としてゆず栽培に力を注ぎ、今や日本一の生産量を誇っており、ゆずの彩りに満ちた景観とゆずの香り豊かな食文化を堪能することができます。
このような歴史や文化はもちろん、日本遺産に認定されるほどのストーリーを有する中芸地域でハーブサミットを開催することは、それぞれの連携を強化し、新たな中芸地域を全国に発信する絶好のチャンスだと考えられるのです。
ハーブサミットは、ハーブの個性と特色を活かした魅力あるまちづくりを推進する目的で開催されています。そのため併催イベントとしてフェスティバルを開催する町も多くあります。しかし、それだけではありません。 第22回の石垣市大会では、サミットの準備段階の市民ワークショップで出てきた造語「命草NUCHIGUSA」というテーマで開催されました。サミット後の現在、滞在型リゾート「星のや竹富島」「命草畑」や、「Yoga Retreat Village, kSaNa」の「ぬちぐさカフェ」など観光での活用、「ISHIGAKI LABO」による命草を活用した商品開発、伝統食のレシピや栽培方法を伝える「命草(NUCHIGUSA)利活用講習会」などが開催されています。さらに「八重山地方では昔から薬傷や野草のことを命草と称していた。」等と間違った記述のHPを見つけることもできます。
このように、ハーブサミットの誘致や準備活動を通じて、住民は地域の資源やお年寄りの知識に気づき、誇りを持つようになった。生活の一部としてハーブを楽しむようになった。生産者はハーブとのコラボレーションにより販売向上につながった。サミットをきっかけに、ハーブ以外の情報も含めて発信する町になり、観光開発や移住者の関心につながった。等々、まさに地域おこしの効果があるのです。
ハーブサミットin中芸、
この取り組みをきっかけに何かが始まる。
新しい何かを始めるのは、あなたなのです!